私が期待したのは救世主、だが現れたのは「最も親しい他人」だった
正直に認めよう。「吉田直樹」という名前が『FF16』を主導すると聞いた時、私のような『FF14』で彼に絶望の淵から救い出された古参兵(ヒカセン)は、120%安心しきっていた。「勝ったな」と思った。何しろ「吉田を信じろ」というスローガンは伊達じゃない。噂では吉田氏は当初『FF16』を引き受けたくなかったらしいが、ファンの熱望と上層部の指示により、またしても火消しか尻拭いのために最前線へ押し出されたとか……あくまで噂だけどね、噂。
結果、70〜80時間が過ぎ、全クリアしてモニターの前に座っている私の心は、空っぽだった。感覚としては、大金を払ってIMAXシアターに行き、天地がひっくり返るような特撮超大作を何本も見たが、その幕間のつなぎが、少し味わいに欠けるインタラクティブゲームだったような気分だ。私が子供の頃から遊んできたあの「味」が、変わってしまったようだ。

作品が悪いわけじゃない、ただ君の記憶の中の姿と違うだけということもある。人は成長するし、シリーズ作品も変化を求める。そのすり合わせの痛みは避けられないものさ。
半分の称賛:コントローラーを置け、これは最高級のポップコーン・ムービーだ
まずは良い話をしよう、そうでないと不公平だからな。ゲームの「演出」は、本当に天井知らずのレベルだと言わざるを得ない。召喚獣合戦、マジな話、イフリート対フェニックス、宇宙でのバハムート戦……何度か本当に顎が外れそうになり、呼吸を忘れた。

これはコントローラーを脇に置き、ポップコーンのバケツを持ってきて、じっくり「鑑賞」すべきゲームだ。カメラワーク、音楽、叙事詩的なスケール感、すべてが映画産業の最高水準にある。もしこれらの召喚獣バトルの映像を編集してそのまま映画館で流しても、私はチケットを買うだろう。制作チームがあらゆる予算と魂を、この瞬間に注ぎ込んだことが伝わってくるし、その成果は驚異的だ。

もう半分の苦悶:操作しているのは一人、プレイしているのは「孤独」

だが映画はいつか終わる。画面が暗くなり、コントローラーが君の手に返された時、残酷な事実を思い出す。「ああ、そうだ、このゲームは最初から最後まで、クライヴ一人しか操作できないんだった」。
そう、彼だけだ。君のそばにいる仲間、ジルだろうが、シドだろうが、あの可愛いワンコ(トルガル)だろうが、基本的にAI制御の背景でしかない。操作も、指示出しも、装備変更もできない。『ファイナルファンタジー』シリーズの核心である「パーティ感」、戦士や黒魔道士、白魔道士をどう組み合わせるか思考する戦略的な楽しさは、今作ではほぼ感じられない。
ゲーム全体を通して、クライヴのスキルがいかに華麗でも、深い孤独感が漂っている。核となるゲームプレイループは極めて定型化されている。「ムービーを見る」→「分岐のない一本道を走る」→「雑魚敵を倒す」→「また一本道を走る」→「またムービーを見る」。最初は新鮮で、素晴らしいとさえ言える! だが30時間も経てば、こう感じ始めるだろう……ちょっと退屈(悶)だな、と。

でも、これはむしろロードムービーに近いと思わないかい? 主人公が車で一人大陸を横断し、道中で出会う人はみな過客に過ぎない。重要なのは主人公の心境の変化であって、通行人A、B、Cがどこへ行くかじゃない。それこそがプロデューサーの表現したかった情景なのかもしれないよ。
システムの無念:映画に奉仕するためのRPG
ゲームプレイが私を「退屈」させただけだとしたら、このゲームのRPGシステムは私に「無念(残念)」を感じさせた。これが最も惜しいと感じる点だ。
- 装備と素材: 道端でキラキラ光る採取ポイントを見たかい? 無視していい。あれは宝物というより、風景の一部だ。99%の素材は、「攻撃力+5」の新しい武器を作るためだけに存在する。装備の強化ルートも比較的単純で……何というか、味気ない。
- スキルと育成: スキルツリーは一見豊富だが、実際はあまり思考する必要がない。いつでもリセットして振り直せるからだ。いわゆる「ビルド構築」の楽しさはかなり減ってしまった。「育成」の深みも不足気味で、どちらかと言えば「アンロックリスト」を埋めている感覚に近い。ただ、スキマ時間しか遊べないゲーマーにとっては、福音かもしれない。
- 探索感: ほぼ皆無。一見広大に見えるマップも、実は中身があまりない。いくつかのサブクエストを除けば、隅々まで探索する動機は薄い。報酬の魅力が弱いからだ。それよりは、絶景を見るために探索する方がまだマシだ。
アクセサリー周りを見れば分かるが、システム全体が「スムーズなクリア」、「映画鑑賞の邪魔をしない」ために設計されている。やり込みが必要なRPG要素を極限まで簡略化したことで、進行はスムーズになったかもしれないが、「遊ぶ」過程の余韻も少なくなってしまった。

IKEAの家具の組立説明書みたいだな。簡易ステップに従うだけで欲しいものは組み上がる。創造力も専門知識も一切不要。便利だけど、退屈だ。
それはパッケージツアーだよ。ガイドが全行程を手配してくれて、交通や宿泊に悩む必要はない。ただ最も重要な観光スポットを楽しむことに集中すればいい。リラックスしたいだけの人にとっては、最高のサービスかもしれないね。
まとめ:不味いわけじゃない、ただ味が違うんだ
結局、最後までクリアはした。だが後味が甘く残るような感覚はなく、強い酒を一気飲みしたような感じだ。吉田氏とそのチームが、トップクラスの「演出家」であることは疑いようがない。だが『FF16』が私に与えた感覚は、外殻は豪華だが、中身の層が少し足りないクリスタルのようだった。
『ファイナルファンタジー』の名を冠していながら、シリーズの最も魅力的な醍醐味――仲間を操作する視点、世界を探索する驚き、キャラを育成する喜び――が欠けている。これは、たまに自分で操作できる超長編アクション映画だ。決して悪いゲームではない。だが、クリスタル神話の母乳で育った私のような古参ファンにとっては、味が違うのだ。たぶん私の魂は、伝統的な「お袋の味」しか愛せないように教育されてしまったのかもしれない。それでも、体験する価値のある素晴らしい部分は少なくない。

『FF16』ゲーム情報
プラットフォーム:PS5
発売日:22/6/2023
販売元:株式会社スクウェア・エニックス
ジャンル:アクション、RPG
ボイス:日本語、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語(ラテンアメリカ)
スクリーン言語:日本語、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、他多数
ゲームの長所
- 叙事詩レベルの演出の饗宴
- 流暢で爽快なアクションバトル
- 成熟した深みのあるシナリオ
- 非の打ち所がない音楽
ゲームの短所
- RPG要素が極端に簡略化されている
- 探索感がほぼゼロ
- 「パーティ感」の欠如
- ゲームプレイループが単調