足は償いを求めたが、胃袋は罪を犯したがった
ことの顛末はこうだ。良心が少し痛んだある夕暮れ、私は久しぶりに自転車に跨り、汗で長年の罪(主にカロリーのことだ)を洗い流そうと決心した。本来のルートは世俗と無縁な河川敷公園だったはずだが、漕いでいるうちに、私の足が勝手に意思を持ち始めたのだ。
我に返った時、私はすでに湳雅夜市の入り口にいた。目の前には創業40年の老舗「蚵仔之家(オア・ハウス)」が、煌々と明かりを灯し、人々の声で賑わっている。それはまるで初心者村の外にそびえ立つS級ダンジョンのように、私に向けて絶えず誘惑のシグナルを発していた。

私は思った。「まぁいい、せっかく来たんだ。運動で失ったエネルギーを補給しよう」。我ながら完璧な言い訳で、自分でも信じてしまいそうだ。
でも君が補給する量って、消費した量を遥かに上回ってるけどね。
黙れ。

スピード・パワー・精度の牡蠣オムレツと、優しい牡蠣ビーフン
孤独のグルメを楽しむオタクとして、効率こそが全てだ。私は速やかに看板メニューの「蚵仔煎(牡蠣オムレツ)」と「蚵仔米粉(牡蠣ビーフン)」を注文した。
牡蠣オムレツ: 言っておくが、提供スピードが異常に速い。厨房に転送ゲートがあるんじゃないかと疑うレベルだ。注文を終えて席に座り、お尻が温まるかどうかのタイミングで運ばれてきた。その速さが理由だろう、食感はサクサクしているものの、火傷しそうなほどの「鍋の熱気(出来立て感)」が少し欠けていた。それはまるで、経験豊富だが少し疲れ気味の殺し屋のようだ。手際は鮮やかだが、その目に殺気が宿っていない。

牡蠣ビーフン: 牡蠣オムレツが速攻のアタッカーだとするなら、牡蠣ビーフンは優しいヒーラーだ。スープは澄んで甘みがあり、ビーフンは滑らか。重要なのはその牡蠣たちだ。一粒一粒がふっくらと新鮮で、ふやけたような生臭さが全くない。私のような海鮮好きにとって、このビーフンの価値は牡蠣の量と質で決まる。そしてこの一杯は、合格だ。いや、合格合格合格合格だ。

牡蠣の品質こそが、この店の命綱だね。ビーフンとスープは脇役さ。牡蠣さえ新鮮でふっくらしていれば、9割は成功したも同然。店側も自分たちのコア・コンピタンス(核心的な強み)をよく分かっているんだよ。
ひと匙の唐辛子の試練と、一本の酢との戦い
すべてが「合格合格合格」の状態だと思っていた矢先、真の挑戦が訪れた。重度の調味料愛好家である私の視線は、自然と卓上の調味料ボトルへと向かう。
まずは、見た目は無害そうなラー油だ。小さじ一杯をすくい、牡蠣オムレツに混ぜた。次の瞬間、私は後悔した。

この唐辛子は、ガチだ。塩辛いだけの豆板醤ではなく、後からガツンとくる獰猛な辛さだ。たったひと匙で額から汗が吹き出し、その汗のおかげで、私はようやく「自転車に乗ってきた人」らしくなれた。その爽快な刺激は、たまらなく快感だ。
次に、私の「お酢追加派(加醋派)」としてのアイデンティティをかけた戦いだ。オフィスでも食卓でも、私は「家畜(チャーチュー)」(※中国語で「加醋」と発音が似ている親父ギャグ)であることを貫く……はい!面白くないですね。とにかく、その酢のボトルの注ぎ口のデザインは、おそらく人類の忍耐力を試すためのものだろう。穴が針の穴のように小さい。10秒ほど格闘した後、私は諦めてワイルドに蓋を回して開け、直接注ぐことにした。酸味の効いた香りが一気に解き放たれ、牡蠣ビーフンに降り注ぐ。完璧だ。
単にIQが足りないだけ説、あると思います。
ソファーを離れる価値のある庶民の味
まとめよう。「蚵仔之家」は、何を食べるか迷った時にとりあえず入れば、絶対に間違いのない店だ。
天地を揺るがすようなイノベーションはないかもしれない。だが、「牡蠣」というコアな部分を極めて見事に仕上げている。新鮮で、気前よく盛られた牡蠣。その一点だけで、競争の激しい夜市の中で揺るぎない地位を築くには十分だ。


牡蠣オムレツの温度は少々残念だったが(おそらく行列と提供スピードのために焼き続けるしかないのだろう、シェフお疲れ様です)、玉に瑕(きず)という程度だ。普段はゴミ捨てに降りるのさえ億劫がるこのオタクに、自転車で出かける動力を与え、食後に満足感まで感じさせたのだから、それ自体がすでに一種の肯定(称賛)である。

おまけ:プランB(予備案)、あるいは「隠しステージ」?
分かってる、並びたくない時もあるよね。「蚵仔之家」の入り口に、限定フィギュアの待機列みたいな長蛇の列ができている時は、夜市の中ほど、セブンイレブンの方へ向かう路地に入ってみるといい。「源慶鮮蚵(ユェンチン・シェンオア)」という隠れた名店が見つかるはずだ。牡蠣の鮮度で言えば、ここは間違いなく「蚵仔之家」と『白と黒のスプーン(Netflixの料理対決番組)』級の対決ができる実力があり、決して負けていない。

以前は昼間しか営業しない伝説の店だったと記憶している。地元の人は尊称してこう呼ぶ。「昼の源慶、夜の蚵家」と。(僕が勝手に作ったんだけど)
現在、「源慶鮮蚵」はバージョン2.0にアップデートされ、内装はお洒落になり、夜間営業も始まった。肝心の味はどうかって? 私がもう一度自転車を漕ぐ価値があるかって? それはまぁ……次回の冒険クエストにとっておこう。乞うご期待(私の自転車が先に錆びてなければね)。
『蚵仔之家』店舗情報
アクセス: 湳雅夜市の林家花園側入口近く。MRT府中駅から徒歩約10-15分。
店名: 蚵仔之家(Oyster House)
住所: 220新北市板橋区南雅東路79号
電話: (02) 2960-1089
営業時間: 15:30–01:00
『蚵仔之家』評価
『蚵仔之家』評価-
Adu(アデュ)8/10 八分あの新鮮な牡蠣と、命取りになりそうな唐辛子のためなら、もう一度自転車を漕いでもいい。マイナス2点は、あのぬるい牡蠣オムレツと、私に恨みでもあるらしい酢のボトルの分だ。
メリット
- 牡蠣が新鮮でふっくら: 店名を冠する主役として、牡蠣の品質は申し分なく、この店の魂と言える。
- 唐辛子ダレが強烈: 辛党にとっては真の加点ポイント。辛さと香りを兼ね備えている。
- 牡蠣オムレツの皮がサクサク: 食感が良く、タレとの相性が抜群で食が進む。
- コスパが高い: 夜市ならではの庶民的な価格でたっぷりの新鮮な牡蠣が楽しめ、お得感がある。
デメリット
- 牡蠣オムレツが作り置き気味: 提供は早いが、出来立ての熱さが欠けている。
- 2階への階段が歩きにくい: 階段が急で狭いため、昇り降りには注意が必要。帰り際、カップルが文句を言っているのが聞こえた。
- 調味料入れの設計ミス: お酢追加派にとっては、ちょっとした戦いになる。(単に私が使いこなせていないだけかもしれないが)