偶然の通りがかりが、子供時代のセーブデータを再ロードさせた
忘れていたと思っていても、身体が覚えている場所がある。その日はたまたま万華(バンカ)付近で用事があり、歩いているうちに、足が自然と夜市の方へと向いていた。小学6年生の頃、ここで塾に通っていた時以来、本当に久しぶりだった。
空気の匂い、人々の喧騒、それらは懐かしくもあり、どこかよそよそしくもあった。かつては地元の人の喧騒だったものが、今は多くの観光客の訛りに変わっている。この今と昔が交差する違和感の中で、私は「それ」を見つけた――『懐念愛玉氷』。あの70年続く老舗の看板は、突如現れたゲームのセーブポイントのように、「すでに上書きされたはずの子供時代の記憶を、もう一度ロードしますか?」と問いかけてきた。
抗うことはできなかった。身体は正直に、行列の中に並んでいた。この古いセーブデータを読み込んだ時、そこに映る景色が昔と同じかどうかを確かめたくて。

華西街(蛇料理で有名な街)で、どうやって蛇を殺すか補習してたのかい?
記憶の中の味なんて、たぶん30%は「思い出補正」による美化だよ。
半分の自爆行為:現代の健康志向脳が、昔ながらの魂に出会った時
その日は観光客もまばらだったが、店は相変わらず繁盛していた。注文の順番が回ってきた時、現代の健康情報に汚染された私の脳内に、悪魔のような考えがふと入り込んだ。「いっそのこと……無糖で頼んでみようか?」
今の私の半分は、過去に戻って当時の自分を殴り飛ばしたいと思っている。もう半分の私は、その決断がもたらした最悪の結果を味わっている最中だ。その無糖の愛玉氷(オーギョーチ)は、本当に、マジで、完全に味がしなかった。私は愛玉を飲んでいるのではない。私は「もし飲み物に味がなかったら、それは飲み物と言えるのか?」という哲学的な問いを飲んでいるのだ。飲み込む一口一口が、あの忌々しく、意識高い系ぶった健康志向に対する公開処刑だった。
だめだ、クエストをこんな形で失敗させるわけにはいかない。私はすぐに列に戻り、復活してすぐにボス部屋へダッシュするプレイヤーのように、改めて「普通の甘さ」のやつを買い直した。


昔ながらの味で無糖を頼むなんて、バーに酔っ払いに来たのにサワー(薄い酒)を飲むようなもんだよ…。
もう半分の現実:会うより、懐かしむほうがいい
その「通常バージョン」の愛玉氷を手に、期待に胸を膨らませて一口吸い込んだ。うん、この味だ――ほのかな甘い香り、喉越しの良い愛玉。余計な氷もなく、出しゃばりすぎるレモンの酸味もない。
でも……何かが違う気がする。
もう半分の正直な私は、すぐに問題の根源を見つけ出した。私の記憶の中の愛玉氷は、愛玉の分量がたっぷりで、ほぼすべての一口で愛玉が吸えたはずだ。しかし今のこれは、愛玉はまるでカメオ出演で、主役はシロップ水だ。私はシロップ水を飲んでいるのか、愛玉を飲んでいるのか分からなくなった。
その感覚は、大人になってから子供の頃大好きだったアニメを見返し、ストーリーの幼稚さや作画崩壊に気づいてしまった時のようだ。あれが変わったのか、自分が変わったのか。その瞬間、私の脳裏には「会うより、懐かしむほうがいい」という言葉だけが浮かんだ。歳をとり、舌が肥え、それに伴ってあの純粋な思い出も、この愛玉と同じように希釈されてしまったのだ。

それは実は普通のことだ。コスト上昇、人手不足、店は量でバランスを取るしかない。それが老舗が現実で生き残るための妥協さ。君が飲んだのは、インフレの味だよ。
もう戻れない子供時代に、一杯(一袋)の乾杯を
だから、『懐念愛玉氷』は飲む価値があるのか? 私の答えは矛盾している。
もし驚くような美味しさを求めているなら、失望するかもしれない。でも、もし私と同じように、消えかかっている子供時代の記憶のためにタイムトラベルをしたいなら、あるいは単に通りがかって喉が渇いているなら、一袋買うことをお勧めする。なぜなら、この薄いシロップ水こそが、思い出への入場チケットなのだから。
その半分は、70年以上変わらない昔ながらの味…かな?(私の好みが変わっただけだと思う)。もう半分は、君がとっくに大人になったことを突きつける「正直あずきまん」だ。それを飲み干して、認めよう。ある種の美しさは、思い出の中で生かしておくだけで十分なのだと。

歴史スポットを見学するつもりで行けば、精神衛生上いいよ。君は「チェックイン(映え写真)」しに行ったのであって、「星(ミシュラン)」を取りに行ったわけじゃないんだから。
『懐念愛玉氷』店舗情報
店名: 懐念愛玉氷(Huainian Aiyu Ice)
住所: 台北市万華区広州街202之1号(超目立つ角地)
電話: 02-2306-1828
営業時間: 15:00–22:30
『懐念愛玉氷』評価
『懐念愛玉氷』評価-
Adu(アデュ)6/10 六分味自体はたぶん5点くらい。でも、私を小学校の塾帰りの午後に連れ戻す「タイムマシン」の役割を成功させてくれたので、ノスタルジー点(情懐分)として1点プラスする。
メリット
- 歴史が長い: 70年の老舗、それ自体が生きた文化スポット。
- 昔ながらの包装: ビニール袋に赤い紐、レトロ感満載。
- 手頃な価格: 夜市の中で、喉を潤すには安くて良い選択肢。
デメリット
- 味が薄い: 全体的に風味が淡白で、愛玉の量が少ない。
- 無糖は罠: 無糖を頼むと、高い白湯(さゆ)を飲むことになる。
- 思い出フィルター強すぎ: 実際の味は、記憶の中ほど素晴らしくはないかもしれない。